イコロの森

工藤敏博の植物日記

カテゴリー: 日記の記事一覧

2018

8.2


日記

バッサリ

昨日も暑かったですね。
涼しいと思ったイコロも暑かった。
昨日は太平洋側が気温が上がったようで、そんな日もあります。

 

一週間くらい前、早朝5時頃の石山通(国道230号)の大通公園付近、全てのT字路、十字路に警察官が立っていました。
何かあったかと思い、知りたい欲望に勝てず、人の良さそうな警官に尋ねたところ、
「訓練なんですよね~早朝からお騒がせしてすみませ~ん」と。
その時はそうなんだ~と思いましたが、明日からの天皇、皇后両陛下のご訪問のためだったんですね。
なるほどですね。

 

その石山通沿いの植え込みの画。
東側の全ての植え枡が2、3日前にバッサリ切られていました。
いつもテマリシモツケがいい茂みを作っていましたが、その合間に近所の人が勝手に植えたと思われるバラやモミジもバッサリ。
どの枡も40cmほどで一様にバッサリ、水平切り。
車道脇に胸高くらいの茂みがあっては警備上困るんでしょうね。

 

今の天皇ではなく昭和天皇の話ですが、「雑草という草は無い」のお言葉は有名です。
終戦直後で草を刈る人手が足りず、当時の侍従長が、人手不足でいずれきれいに致しますからと詫びたところ、陛下は「何を言っているんですか。雑草という草はないんですよ。どの草にも名前はあるのです。どの植物にも名前があって、それぞれ自分の好きな場所を選んで生を営んでいるんです。人間の一夫的な考えで、これを切って掃除してはいけませんよ」といつになくきつい口調でおっしゃったという。

 

警備上の行為でしょうが、天皇が知ったらどう思われるのでしょう。
茂みの後ろに警官一人立てばいいことと思います。角地には、たごまってるのに。
何のための植え枡なんでしょうね…

 

ワイルドでいい感じだったんです。
せめぎあうバラを見るのも楽しみだったんですけどね。

2018

7.29


日記

ぎりぎりセーフ

昨日は雪の聖母園の苗畑へ。
6月中旬に植え込んでから一回も行っていなく間が空いてしまいました。
今年こそは先手でいこうといつも思っているのですが、どうしても優先する諸々ありで後手になります。

 

朝の状態。通路の草が伸び、マルチングの植え穴の中も草と競合。うーん。

 

作業後。
何とかぎりぎりセーフだったでしょうか。
施肥もして、これからの伸びに期待します。
いつも9月がいちばん伸びます。
屋外越冬で秋の施肥は禁物ですが、秋掘り上げ〜ハウス内越冬なので秋に施肥をし、伸ばします。
期待したいものです。

 

その雪の聖母園で乾かされている薪。
芸術的な積み方でいつも感心します。

 

積まれた薪の横からの画。
倒れ防止のために枝を挟んでいます。巧みですね。

 

倉庫横のコンクリートレンガも綺麗に積まれています。

 

どれも利用者の皆さんの仕事ですが、こういう丁寧な所作を見ると襟を正される思いがします。
いつもなりふり構わずに進んでいる身としては清々しい気持ちになる。

いつも静粛な雪の聖母園。場の特性もあるかもしれませんね。

2018

7.28


日記

二番花

昨日も暑かったですが30℃いってなかったんですね。
うん、風が吹けば気持良かったですもんね。

今朝も風ありで、遠くの台風の気配を感じます。

 

世の中バラは二番花ですが、あちこちでハマナシの二番花も目につきます。

 

ヒップが色づく横で再び開花。
ある意味不思議な光景と思います。
諸外国では繰り返し咲きの原種とされていますが、寒冷地型の植物、バラでこの開花性は何とも不可解ですよね。
ただ、全ての夏枝に花を付けるわけではなく開花数はあまり多くない。当然一番花に比べるとささやかです。
勝手な想像ですが、ヒップの熟度に差をつけて、実を狙うものや採られる時期の分散を図っているのではないか?目立って栄養満点のヒップ、誰でも赤く熟したものから狙いますからね。
あるいは、熟度に時間差をつけることで、天変地異からの危険回避。これは植物ではよくある話ですね。
いずれにしても、この性質があるからバラの育種材料としては使いやすいし、使ってみたくはなりますよね。連続開花性を落とさず、強健性を高められるのですから。

 

そんな中、まだしぶとく一番花で頑張っているものもあり。

 

いわみざわ公園のRosenholm。
超遅咲きですが、抜群の安定感があります。

Z6。Z4のランブラーでもなかなか枝が保たないのに、わからないものですよね。

PoulsenのCourtyard CollectionのクライマーあるいはFl。

Courtyard Collectionは40品種以上あるが、ほとんど日本には入っていない。

他の品種も是非試してみたいものです。

 

かなり頑張っていますが、さすがにそろそろ終わり。

繰り返し咲きになっているが、いつもほとんど次の花が見られない。

来週にはしっかり切り詰めてみる予定。

二番花に期待したいものです。

2018

7.24


日記

トゥレプ

本州など各地の猛暑、まさに報道されている「命の危険がある暑さ」ですね。
北海道でも今日から高温が続くようですが、本州などから見れば風が吹けばクーラー状態でしょうか。
でも、暑さに慣れていない北海道民にとっては25℃以上になればとても暑いわけです。

 

一昨日のイコロの帰り道、桂ゴルフ倶楽部の林の中ではオオウバユリ(Cardiocrinum cordatum var. glehnii)の花がまだ残っていました。
さすがクーラー状態ですね。

 

札幌の自宅にもあり、既に終わっていますが、窓からすぐそばの株が異様に大きく育ったので毎日観察していました。

 

7月11日、かたまっていた蕾の固まりが大きく膨らんで、少し分かれてきた状態。まだしっかりと苞葉に包まれています。

 

7月14日、固まりが割れ、各蕾が下がってきた。いよいよです。

 

7月15日、全部の蕾が分離、開花はもうすぐ。

 

7月18日、朝方同時に中間部の3個の花が開花。夕方にはほぼ全部が開花。ユリは下の蕾から、バラの房咲きは上からなんですが、ほぼ一気に開花するんですねウバユリは。
全部で29輪、全長198cm。普通見られるのはせいぜい多くても20輪ほどだから、かなりの大株といえます。バラの植床すぐそばだからでしょうか。

 

その花のアップ。ユリに似た上品で甘い濃厚な香り。ハチやらアリやらどんどん集まって来る。そりゃそうだわな~

 

7月20日、うーん、あっという間に萎れてきている。開花期間2日。実生から6~8年目に開花。一生に一度だけの開花(一回繁殖型植物)。

 

7月22日、どんどん花弁を落とし、既に子房が膨らんできているのがわかる。うーん、進みが早い。

 

この後、お馴染みの茶色の果実ができ、一つの果実に何と500ほどのタネが入ります。
草丈高く伸びるのは、生育場所の変化に対応するためにタネを風で遠くへ飛ばすためとの説もあり、さらに株元にはラメット(娘鱗茎、栄養繁殖体、分球ではなく子球ができる感じ)もでき、それは3年ほどで開花(自宅の株は多分それ)。実生繁殖と栄養繁殖を同時に行っているわけですから、実に巧妙な生き残り戦略を持っているといえますね。

 

ちなみにウバユリの和名は、花の咲く頃に葉が枯れているものが多いので歯の欠けた姥に例えてのもの。うーん、何かもの哀しい。
アイヌ語のトゥレプの方がいいな。
デンプン多く含む鱗茎、アイヌ民族にとっては穀物以上に重要な位置を占めていたといいます。
花が咲く一年前の物を採取したようで、タネをばらまく開花株を残すことで資源を持続可能に利用したのですね。
庭の中での除草も然り。これは2年後かななんて思いを馳せて、それはそれで楽しいものです。

2018

7.19


日記

最北のバラ園

やっと雨から解放され、昨日は羽幌へ。
すでに花見に行った方々から「良い状態だったよ」と聞いていましたが、その通りでした。

 

目にも鮮やか、雨続きだった影響も全く見られず、よく手を入れています。
刈込み風の仕立ては自分の意図ではありませんが、まあ管理者の嗜好、都合もあるので目をつぶります。
何よりも各株の勢いが感じられたので、満足万蔵。

 

おそらく今のいちばん人気はこれかと。

 

フロリバンダのCordula、黒葉に濃い朱赤の固まり。皆さん、この前で足を止めていました。
Kordesの1972年作出、花粉親はEuropeana、Z4でEuropeana以上の期待をしてドイツから輸入しました。
今はKordesも取り扱いなく、これだけの生育が見られるのは羽幌だけかもしれません。
こんな品種結構あります。Eutin然りですね。所変われば品変わる、否、所変われば育ち変わる、でしょうか。

 

中央部のHTも、ほぼ目線で開花、こうでなくっちゃ、ですね。
昨年秋に園路補修が施され、チップ舗装からアスファルトになり、各花壇は縁石でしっかり仕切られました。利用者にも管理上も好評とのこと。
アスファルトの色みが少し味気ないですが、まあ使いやすいのが何よりですね。

 

はぼろバラ園、1998年オープンですから、来年は20周年なんですね。
開設前から試験栽培、町議会での説明などを行い、軌道に乗ってから少し離れていて、10年目くらいにかなり生育が低下し、再び立て直しを図って今に至ります。
山あり谷ありの20年、ほんとにバラ園ってデリケートだと感じます。

 

昨日も役場の若い担当職員に話しましたが、細部の詰めとか、構造物や背景の扱い、休憩場所の確保等々、まだまだやるべきことはあります。
日本最北のバラ園、これからも進化を続けてほしいものです。