イコロの森

工藤敏博の植物日記

2018.10.5日記

公園の記憶


昨日は北海道はどこも晴れ、一年で数回かもしれません。
朝方は寒かったですが、日が昇ると太陽の光は優しく風もなく穏やか、最高の日和でした。

 

ムズムズして仕事なんか放ってどこかに行きたくもなりましたが、昨日はいわみざわ公園。
バラ園もどこも秋の日差しでキラキラ、朝方ゆっくり秋バラを見てお腹いっぱいになりました。

 

昨日のいちばん、イギリスHarknessのHumanity。
やはり秋花は全然違います。
初夏の一番花〜夏花は目立たず、株もいまいちでしたが、いつもこの秋花を見ると見直します。
再度輸入したいものですが、かなり難しい。うーん。

 

この秋はリニューアル以降、初めて本格的に土壌改良を行います。
凍害、寒風害もありですが、6年を経過して土壌もかなり劣化。
表層はマルチングで薄く腐植層ができているものの、心土の土壌分析の結果、腐植が2%程度とのこと。6年前に2割ほど入れた腐植はほぼ分解しています。
当たり前ですよね、腐植は消耗品ですからね。

 

腐植を入れるために株周りを掘る、今年入った新人S君。
一昨日試しにやってもらった型通りのやり方を、昨日は現場に合わせてアレンジ。
株周り全てではなく、やり易い所を狙って、根が伸びやすい所を狙って行いました。

 

彼が使っている道具。
「根起こし」との名称で岩見沢市内のホームセンターで売られているそう。札幌では見たことありません。さすが土地柄ですね。
確かAnnaさんの時代に見つけてきたものですよね。
これ優れものです。足をかけて土に挿し、てこの原理で簡単に土が耕せる。
ジャガイモの掘り起こしにも使われているみたいですが、宿根草の掘り取りにもイケると思います。
根を切らないのがいい。

 


 

新人S君、自分の半分以下の年齢ですが、とても素直で真摯。
きっとバラも素直に育つと期待しています。
札幌出身で、実家は百合が原公園のすぐそば。
中学校時代、俳句と短歌が趣味で(変わった子ですね)、百合が原公園の南端の藤棚の下のベンチが指定席、そこで俳句を考える時間が至福だったとのこと。
10年ほど前の話しですから、きっと自転車に乗って公園内を走り回る工藤がそばを駆け抜けていたと思います。
そんな場所を公園に作りたいとのこと。ですね、いわみざわ公園にはベンチはあるもののどうにも落ち着きませんから。

 

子供の頃遠足で百合が原公園に行き、どこそこの景色が記憶に残っているとか、リリートレインからの景色を憶えているとか、公園を抜けてからも大人に育った何人かから聞きました。
自分にとっては何より嬉しい言葉です。
その記憶はずーっと残っているわけで、そんな景色を作ってきたことが自分の仕事でしたから。
それが受け継がれて続いていく。感慨深いものがあります。