イコロの森

イコログ

カテゴリー: 日記の記事一覧

2017

12.22


日記
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ポッティング・スタイル

オランダからの宿根草、やってきましたよ。今年は花木もありますよ。工藤北村のブログにもありましたが、立派な苗。数年前に入れたときと全然違うサイズで驚いております。ほんと、温室に並んでいるのを眺めるだけで嬉しくなりますね。積雪とか寒さとか、色々あるけど、なんとかカラーステムを使ったウィンターガーデンを北海道でもっと楽しみたいと思うわけです。雪という素晴らしい背景があるわけですからね。初めてイギリスでウィンターガーデンを見たときは、余りのメルヘンぶりに驚愕しましたが、もっとメルヘンになりますな。雪があったら。

 

ところで、ポッティング作業が続くこの冬籠り生活。今年はイコロの森の温室においても、そのポッティングスタイルにちょっとした変化の波が。それはスタンディングスタイル。

温室の整理整頓をしていた時に、「このテーブル、ここにあるの意味なくね?」「ここにあるから、みんな、気軽に物を置いちゃうんだって。」という議論から、「じゃあ、どこ置くよ。」となり、「ポッティング作業、立ってやれた方が楽じゃね?」となり、ここに移動となりました。ポッティングはイコロに来てからずっと風呂の椅子に座ってのスタイル。かねてから、スタンディングスタイルで作業できるといいなとは思っていました。英国修業時代は、どこも立ち作業で、姿勢自体はすごく楽だったという印象なんです。でも、用土をテーブルに乗せるという工程がなかなか難儀。以前は温室内で土を配合していたこともあり、こねたものを作業台に乗せるのは一苦労だから、それなら床に土をおいたまま座ってやった方が楽だなと思っていたわけです。でも、ここ数年はブレンドしてもらった土を袋に詰めて納品してもらっているわけだから、その手間は床でもテーブルでもそう変わりません。そういうわけで、このようなスペースが誕生したのであります。テーブルの対面に壁は必須ですよ。

 

今やっている、輸入苗のポッティングは人数をかけて次から次へとどんどん進めたいので、広い床に用土を広げてみんなで風呂の椅子に座って、囲みながらの作業が効率は断然良いです。なので、状況に応じて、座ったり立ったりしながらやっているけど、姿勢だけで言えばやっぱり立ってる方が楽ですね。腰を曲げなくて良いので。

 

そんなこんなで、私も若いつもりが、ひとポット毎に、どんどん年取りますので体をいたわりつつやりたいもんで、助かってます。

 

ちなみに英国修業時代のポッティングシェッドの様子を紹介したく、写真を探したんですけどなかなか出てこず。

ディクスターの屋外版ポッティングエリアがこちら↓

なんか、味わい深いですね。

 

グレイトパーク時代のポッティングシェッドの写真の代わりに、Vine Yardというガーデンからちょっと離れた場所にあった第二生産施設のメスルーム(休憩室)の写真を。

狭くて、少し汚く、なんの色気もない、うらさみしさ満点のメスルーム。自分で作ったサンドイッチを無言で食べてた、体をいたわるなんて知らなかったころの自分を思いだします。。。一応言っておくと、ここは毎日使う場所じゃないから、こんな感じなんですよ。

 

では、明日からも引き続きポッティング、頑張りましょう。

2017

12.12


Root File
日記
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アキレアノネ、アガパンサスノネ

ボーダー掘り取り苗のポッティングアップが終わりまして、販売苗の在庫の整理をはじめました。

イコロの森で販売している苗は、オリジナルでブレンドされた専用用土に植えています。宿根草は販売期間がオールシーズン(冬季休業中は除く)。花が咲いているときだけではありません。花が咲いていないものは、売れ行きもよろしくないので、お店の面積が限られていたり、仕入れ中心でやられていたり、というお店ではなかなか陳列できないかもしれません。イコロの森は自家生産苗ですから、基本的にオープンからクローズまで、ラインナップされた全ての苗が店に並びます。ということで、これから来年の秋までしっかりと育てなければいけませんから、ポットに植え込む時もどんな土に植えるかはすごく大切なのです。植え込むポットもしっかりと根が育つ、ちょうどよい大きさを、種類や個体によって選んでいますので、まちまちです。大変ですが、それを考えるのも楽しいものです。

 

Roots File 09 Achillea ‘Apfelblüte’  アキレア ‘アップルブロッサム’

育苗ポットから取り出して、土を落とした状態です。このようにひとつひとつ丁寧に余分なものを取り除き、可能なものは株分けもしてフレッシュな状態に戻しますよ。

 

Roots File 10 Achillea   millefolium ‘Weisses Wunder’ アキレア ‘ヴァイセス・ウンダ’

こんな感じで勢力を拡大するんですね。でもこぼれダネで増えるほうが気になりますかね。「あ、こんなところに。」と思う時がたまにありますよ。そんな自然な増え方もまたよし。

 

Roots File 11 Achillea   ‘Terracotta’ アキレア ‘テラコッタ’

大鉢に植えている見本苗の根です。イコロの森では、成長したときにイメージしてもらいやすいよう、ほとんどの販売種類でこのような見本鉢を作成しています。ぜひ参考にしてください。それでも、宿根草ですからいつでも咲いているわけではありません。ちょいちょい、お店を覗いてもらえると嬉しいです。あ、でももっと分かりやすいのはもちろんガーデンですけど。見本鉢は、販売苗が売り切れたりなどした場合にはイコロハウス前のポットディスプレイにも利用しているので便利です。

 

Roots File 12 Agapanthus ‘Blue Triumphator’ アガパンツス ‘ブルー・トライアンファター’

 

Roots File 13 Agapanthus ‘Duivenbrugge White’

アガパンサスの根は、白くてやや太めですね。上のアキレアと比べればその違いはおわかりと思います。根だけみれば、ホスタの根もこんな感じの記憶なんですが、育つ土の性質って違う印象ですね。ちなみに、アガパンサスの苗は、去年の秋、11月の積雪と霜にやられてネチョネチョになってしまったので、今年は閉店直後に温室へ逃がしました。さらに、今年は自慢のオリジナル用土にレキを余計に追加してポッティングしてます。ご期待ください。

ところで、アガパンサスは鉢植えで根っこがパッチパチの方が開花しやすいと言いますね。庭植えで十分越冬しますが、ポットで寒さを避けた方が大きくなるかもしれないですので、鉢植えもお勧めします。良く通る道沿いで、すごく上手にたくさん咲かせている鉢植え見るんですよね。いつもうらやましいと思ってみてます。

2017

12.8


Root File
日記
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ルートファイル

いよいよ、イコロにも本格的な冬が来ました。二日くらい前に20センチ以上つもり、昨晩もまた追加となりました。

 

 

これは、もう春まで雪の世界かな、と思います。庭作業、できればやりたいこともあったけど、今年は十分出来た方かなと思います。また春に。。。

 

そういうことで、温室での作業も本格的に始まっています。今は、ボーダーから掘り取った苗のポッティング(=育苗ポットに植え込む)をやっています。掘り取った苗はそのまま何もせず温室(0度設定)にあります。それらの土をていねいに落とし、余計な雑草の根を取り去り、適切なサイズのポットに植え込んでいきます。

今年はボーダーのウッドランドガーデン側(曲線の花壇になっている方)で、株分けが必要と判断したものを掘り上げています。奥の方から手前に進んでいるので今はこれら。

ヘレニウム(Helenium)とゲラニウム ‘ブロゴールド’(Geranium ‘Blogold’)です。数年前まで上の写真のように7月下旬はすごくきれいでしたが、両方とも勢いがなくなってますので、掘り上げて株分けです。またここに戻すか、別のものを植えるかはこれから協議です。

 

さて、これらの苗の根から土を落とし、一旦裸の状態にするのですが、毎年この作業をしながら、裸になった根っこの写真をちゃんととっておけば、色々と役立つだろうな、と思いつつやりませんでした。今年こそは、と思っておりますので、撮影した写真をブログでも紹介して、保存していこうかと思います。

 

Roots File 01 Helenium  ヘレニウム(品種調査中)

ヘレニウムはこんな感じで、根っこがひと芽づつ分離していることが多いので、土をきれいに落とせば、根を傷めることなくどこまでも細かく分けることが出来ます。育苗ポットに入れる場合は、小さくするのも良いですが、そのまま庭に戻す場合は、ここまで分解する必要はありませんので、掘り上げた大きな株にフォークを二本挿して引き裂く方法で適度な大きさに株分けするとよいでしょう。

 

Roots File 02 Geranium ‘Blogold’ (=’Blue Sunrise’) ゲラニウム ‘ブロゴールド’(=‘ブルー・サンライズ’)

左側が販売用でポットで育てていたもの、右側がボーダーから掘り取ったものです。ボーダーにあったものはもっと先の方に細根があったはずですが、掘り取りの際に切りとっているので、こんな感じです。ポットで育てていたものは限られた範囲内でこのように細根を出しています。右のものもポットに植え込むことで細根がどんどん増えていき、庭に植えても根をしっかりと張りやすくなります。でもこんだけ根の状態が違うわけだから、水やりひとつとってもまったく同じ管理、というわけには行きませんね。温度が上がってきたら左は水を切らさないように、右はやり過ぎで根が腐らないように常に注意が必要です。土にかくれたら分からないわけですので、やはり、「土と植物の状況をみながら潅水する」が大切です。

2017

11.2


日記
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ikor top 5 news of 2017

先月をもちまして、2017年の夏季営業も終了となりました。毎年同じ感想ですが、あっという間でした。そして、足を運んでくださった皆様、本当にありがとうございました。また来シーズンもお会いできると嬉しいです!

 

ということで、今日は今シーズン印象に残った出来事を僕の独断によるランキング方式で振り返らせていただきます。画期的ですね。

 

 

第五位「オンラインストア始まる」

「ナーサリー(植物)https://ikornomori.thebase.in/」「イコロハウス(雑貨・食品)https://ikorhouse.shopselect.net/」と2店舗をオンライン上にオープンいたしました。いつものPOP作成作業にくわえて、新たに植物のデータを入力しないといけないという試練ではありました。サチさん、ご苦労様でした。ぼくも微力ながら、写真探し、頑張りました。北海道の方にも多くご利用いただけ、ますますがんばらんといかんな、と思う次第です。今後の課題としては、新商品をいかにマメにアップできるか、また画像データがないものに関しては貪欲に撮影に挑みたいと思っております。来年もよろしくお願いします!

 

 

第4位「ポールファーナン、ブレイク。」

ホワイトガーデンの中央にあるパーゴラに仕立てられたバラ ‘ポールファーナン’(Rosa ‘Polstjärnan’)がいよいよ成熟期を迎え、満開時には多くの方に喜んでいただけました。今シーズンは、長尺苗の販売もあり、ホワイトガーデンでご質問いただいて、そのままナーサリーにご案内する、ということもありました。店頭の苗は完売したのでは?ようやくパーゴラが華やかになり、イコロの森のシンボル的な存在になってきましたね。これはブレイクですよ。見ごろは6月下旬から7月初旬。ぜひ来年もお見逃しなく。

 

 

第3位「hanakoに載る」

Magazine for TOKYO GIRLS「hanako」にイコロの森のレストランガーデンがでっかく載りました。しかも、インスタ映えで話題の「ロールアイスクリームファクトリー」の次のページ。すごいっすね。北海道のおいしいものを特集したページで、「LOPPIS2017」を取材していただいたんです!これはまさに、イコロの森を応援してくださる皆さまのおかげであります。ご来園頂いた皆さま、ご出店いただいた皆さま、そして実行委員会の方々に感謝いたします。今回は「食」の特集ではありましたが、いつかまた、庭や植物の話題でこうやって多くの人に紹介してもらえるような機会に恵まれるよう、精進いたします。

 

 

第二位「ササ咲く」

突如やってきた笹ブームでした。(イコロで開花したのはスズタケという種類です。)数十年に一度しか咲かないと言われ、その生態にはまだなぞも多いということで、皆さんの興味を掻き立てたササ。開花も終盤に差し掛かってから、新聞やテレビに取材をしていただき、多くの方がイコロにお越しくださいました。これのおかげで初めてイコロに来てくださった方も多く、「いいとこだね!」と言っていただきました。ササの開花は不吉の前兆などともいわれますが、我々にとってはイコロの森を知っていただけた、神様からの突然のプレゼントのようなものでしたね。観光型ガーデンとしては、華やかな園芸種で喜んでいただくのも大切ですが、ウッドランドガーデンのように自生の植物があるエリアでは、それらをしっかりと守り、皆さんに見ていただくのも我々の大切な役目だなと思いました。ササは一斉開花すると翌年は枯れてなくなるとも言われますが、さて、来年は本当に枯死しているのか、しっかり見守りたいと思います。

 

 

第一位「10years!!」

2008年4月にオープンしたイコロの森は、今年は実は10年目のシーズンでありました。僕は2010年から働かせていただいてますので、10年まるまるではないですが、でも、ここまで続けることが出来て本当に良かったです。Windsor Great Parkで一年間の研修をしていた時、いつか大きな庭を自分の好きなように育てることが出来たら楽しいだろうな、と夢のようなことを思いました。とんでもない大金持ちになるか、よっぽどの努力か運か、がなければなと思っていて、常にそこを目指してがむしゃらにしていたわけではないけれど、色んな変化や出会い、経験を経て、いつの間にかすごく近いところにきているな、と思うようになりました。感謝しかありません。また10年後もいつの間にかいい感じ、って思えるよう、とりあえず11年目を頑張ります。

 

来年もよろしくお願いいたします!

2017

10.18


PLANT OF THE DAY
ガーデン
日記
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カラフル

秋の庭はカラフルでまぶしいな、と改めて思った今日の朝でした。

 

 

PLANT OF THE DAY 45

Rubus phoenicolasius エビガライチゴ

キイチゴ属。北海道の山でも見られる(らしい)、エビガライチゴ。レストランガーデンだし、ということで果樹を集めていたときに頂いたものです。夏にはかわいい実がなり、園路沿いのため、お客さんもつまんでいるようです。ちょっと種の存在感が気になりますが、まあまあ食べられます。甘さは控えめです。ジャムなどにするのも良いかもしれません。

落葉低木で、伸びた枝が地面にふれたところで発根してどんどん増えてしまうので、常に気を使っていますが、アーチ状に伸びるこの枝が好きです。花が咲き、実をつけた枝は茶色くて少し汚い印象もあり、来年は実をつけないので、今年伸びたシュートだけ残して全て切り去ります。すると、このように瑞々しい赤茶色の枝だけが残ってすっきり。葉が落ちてからもしばらく赤い枝を観賞できますね。キイチゴ属ですから、とげがいっぱい。本来ならこういう庭園で園路沿いに植えるべきではないかもしれません。ごめんなさい。ご注意ください。でも、実がなったときに皆さんがすぐ見つけてくれるので、嬉しいです。また、となりのスコッツローズも大好きなのですが、どうしてもこのエビガライチゴの勢いに圧されてしまうので、株を減らすべきではないかと検討中ではあります。(写真:イコロの森 レストランガーデン/2017.10.18)