イコロの森

工藤敏博の植物日記

2018.1.2日記

至福の正月


明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
今のところ、どこも穏やかなお正月のようで、よかったです。
雪かきもなく楽ですが、この後恐いような。
このままではいかないでしょうからね。

 

年末から正月モードに入り、今日か明日は娘家族も顔を出すかもしれず、3日まで完全オフとしました。
イコロはkimさんが留守番、ネズミと格闘しているのでしょうね。
すみません、お願いします。

 

年末年始は待望の読書週間。
いつもはどうしても仕事がらの植物関係の本になりますが、年末年始はあえてそれから離れたジャンルが読める。
それが待ち遠しかった。
30日からずーっと読書漬け、考えてみれば年末から一回もテレビのスイッチ入れてないな。

 

昨年後半は改めて土についての本を何冊か読んでいましたが、農業の近代化になると必ず出て来るハーバー・ボッシュ法。
1906年にドイツで開発された化学肥料の誕生です。
その一人、ノーベル賞を受けたカール ボッシュは、あのドイツの電動工具メーカー、ボッシュ社創立者の甥に当たります。
その波瀾万丈の生き様も非常に面白いのですが、改めて考えてみると、今普通に使われている化学肥料は今からわずか100年ほど前に誕生したわけです。

それ故に、その後の世界の人口が急速に増加したのです。
それ以前は、輪作や焼畑などを行い、肥料は草木灰、堆肥・厩肥、そして江戸時代の風物詩としての下肥運搬がよく語られる人糞尿。
化学肥料導入前の日本は、徹底した自然利用とリサイクでずーっと生産力を維持してきたわけで、このわずか100年で一変。

 

で、その100年前の日本ってどうだったんだろう?
その延長線上に自分たちはいるわけで、ずーっと蓄積されてきた自分たちのDNAとは?
それを知りたくて、この年末は宮本常一の本を4冊読むことにしたわけです。
民俗学者ですが、民俗学者と言えば柳田國男ですが、宮本常一は、漂白民や被差別民も含めてのもっと普通の人々の膨大な記録を残しました。

 

サンカ、生地屋、マタギ、杣人、焼畑農業者、鉱山師、炭焼き、修験者、落人の末裔…いやはや映像を見ているような感覚、かなり衝撃を受けました。

最初に読んだのが「忘れられた日本人」(久しぶりの岩波文庫で小さい字に難儀しましたが)、次に「山に生きる人びと」、今は「海に生きる人びと」半分くらい、最後は「日本文化の形成」、あと2日で完読予定。

 

合間に酒も飲みつつ、至福です。